相続で役立つ自分で作ることができる自筆証書遺言とは

自分で書いて作る遺言書

自筆証書遺言とは、「遺言者本人が書く遺言書」です。

紙とペンさえあれば作ることができるというお手軽な遺言書です。

しかし、そのお手軽さゆえに、法律で書かなかければならないことを無視してしまい、遺言書自体が無効になってしまったり、書き方を誤り遺言書の一部が無効になってしまうことがあります。

自筆証書遺言で絶対にやってはいけないこと

自筆証書遺言では守らなければならないことがあり、これを無視してしまうと遺言書自体が無効となってしまいます。

それは以下となります。

  1. 遺言者自身が全文を書く
  2. 遺言者自身が遺言書を作成した日付を書く
  3. 遺言者自身が自分の氏名を書く
  4. 押印する

このどれか1つでも欠いていた場合は遺言書自体が無効になるので十分に注意してください。

①全文を遺言者自身が書く
「本人以外が代わりに書く」とか「ワープロで作る」というのは、遺言書自体が無効になります。手が不自由な人は、一定の条件で判例では認められたこともありますが、万が一無効となっては大変なことになるので、無難に公正証書遺言で遺言を作成することをおすすめします。なお、遺言書だからといって肩に力を入れ、普段では絶対書かないような綺麗な字で書かないでください。「この字は親父の字じゃない。誰かが書いた偽の遺言書だ」と言われ争いになることがあります。肩の力を抜いて、普段通りに書いてください。

②日付を遺言者自身が書く
日付が客観的に特定できるように書いてください。例えば、「平成二十四年七月十八日」というような書き方です。まちがっても「平成二十四年七月吉日」というようには書かないでください。

③氏名を遺言者自身が書く
遺言者が通常使用している通名でも一定の場合は認めるという判例がありますが、妙な言いがかりを失くすために、戸籍に記載されている名前を書いてください。

④押印をする
認印ではダメということはないのですが、周りの疑いの目を少しでも緩和するために、実印をおすすめします。なお、押印をする場所は特に決まっているわけでないので、自書した名前の後に押しておけば大丈夫です。

書き方を注意しないと困ってしまうこととは

遺言書自体が無効にならなくても、書いている内容が明確でない部分は無効となることがあります。

例えば、「住んでいる家は妻に相続させる」と書いても、どの家かはっきりと特定していないので無効になる可能性が高いです。

書き方を誤るとこのようなことが起こり得ます。

また、将来起こり得ることを考慮していない場合には注意が必要です。

例えば、遺言書で妻に財産を与えることを書いたとしても、遺言者より先に妻が亡くなってしまった場合、妻に与えようと思っていた財産は受取人がいなくなってしまいます。

このような場合には、また遺言書を作らないと、受取人がいない財産の分配は相続人全員の話し合いが必要になってしまいます。

このような問題が発生しないように遺言書の文章には注意が必要です

自筆証書遺言のメリット

●自分1人で作成できる
他の遺言方式と違い証人や立会人が不必要ですので、気楽に始められます。

●いつでも、どこででも作成できる。
遺言書を作成する場所は決まっていないので、自宅でも病院でも、どこででも作成することが可能です。

●費用がほとんどかからない
公正証書遺言と異なり、公証役場の費用や証明書費用等が不要なため、その分費用が掛かりません。紙とペンさえあれば遺言書を作成すること自体はできます。

●作成したことを秘密にできる。
1人でも作成できる遺言書なので、遺言書を書いたことを秘密にできます。

遺言書の内容を秘密にできる。
1人で作成すれば、周りの者が遺言書の内容を知って文句をいってくることがありません。

自筆証書遺言のデメリット

●保管場所がわからず発見されない可能性がある。
遺言書は将来発見されなければ意味のないものです。仮に発見されても相続の手続きが終了してしまい、相続人全員の合意で遺言書はなかったことになった事例もあります。遺言書は生前は見つかりにくい場所で、死後は見つかりやすい場所に保管しておきましょう。

●遺言書を変造、隠匿される危険がある。
遺言書の内容を快く思わない者に遺言書を発見されると、遺言書を作り替えられたり隠されたりするおそれがあります

●遺言書の形式不備が起こりやすい。

法的知識等がない場合、無効の遺言書を作成してしまう可能性があります。どうしても自分で作成する場合は2度の見直しだけではなく、3度の見直しをするくらいの確認をしてください。

●家庭裁判所の検認が必要。
自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要です。検認には時間が掛かりますし、たくさんの書類が必要になります。そのため、財産分与の手続きをするまでに長期間かかります。

●遺言者が書かなければならない
たとえ体が不自由で指が思うように動かなくでも、代筆は原則として遺言書自体が無効になります。

●遺言が本物かどうかを問われたときに公正証書遺言ほど証明力がない。
自筆証書遺言の場合、本当に遺言書を本人が作成したのかがわかりずらいので、公正証書遺言のように高い証明力はありません。そのため、相続争いになることがあります。

作成の手順

<1>法定相続人が誰なのか調べる
法定相続人が誰かわからず財産を譲らなかった場合、法定相続人からの遺留分の減殺請求などが考えられることや、相続人だからと文句を言う者もいるため、あらかじめ法定相続人が誰かということを把握しておくべきです。
<2>どのような財産があるか調べる
遺言書は実際に不動産の登記や預貯金の名義変更を行う際に必要となる書類ですから、財産の正確な情報を記載しなければなりません。そのため、遺言書を作成する前に資料となる不動産の登記簿、預金通帳、株式等を手元に集めて、財産リスト(財産目録)を作成したほうが、誰に何をあげるかがわかりやすいです。また、以外に思われる人もいるのですが借金(負債)も財産となります。借金もふまえて遺言書を作成しておけば、相続人は相続放棄も考えることができるので相続人は助かります。
 <3>遺言書を下書きする
面倒かもしれませんが、いきなり清書するのではなく下書きをしてください。なぜかというと、清書した際、訂正箇所が多いとわかりずらい文面で一部無効となったり、「誰かが書き直したんじゃないのか?」と疑われる原因になるためです。
 <4>遺言書を清書する
下書きをして文面が決まったらいよいよ清書です。ここで気を付けてほしいことは、「普段通りの字を書くこと」です。どういうことかというと、遺言書だからと普段では使わないような書体や綺麗な字を書く人がいますが、そんなことをしてしまうと「これは○○の字じゃない。この遺言書はニセモノだ」と言われかねません。普段通りのあなたの字が1番です。
 <5>不備がないかしっかりと確認する
遺言書を数回確認しましょう。名前、日付は書きましたか?相続人の名前は住民票通りに記載されていますか?等々。些細な不備でも遺言書の一部、または、全部が無効になることは十分に考えられます。しっかりと確認しましょう。
 <6>適切な場所に保管する
遺言書は、自分の死後、確実に発見されるように、しかも安全な方法で保管することが必要です。適切な場所に遺言書を保管しておかないと、何処に置いたか忘れてしまったり、誰かに見つけられて変造・偽造されてしまう可能性があります。かといって大事にしまい込みすぎると、遺言者が死亡したあと誰にも発見されず、遺言者の思いが伝えられません。あまりにも見つかりにくい場所は避けるようにしましょう。相続開始後早期に発見されるよう工夫が大切です。このさじ加減を調整しましょう。
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